卒業生の 藤原 沙絵さん

藤原 沙絵さん 
2011年 工学部 応用化学科 卒業
2013年 工学研究科 応用化学専攻 博士前期課程 修了
共和薬品工業株式会社 研究開発本部 開発企画部

1年次からの実験で日々成長し
医薬品開発の最前線に立つPMに

現在の仕事内容と今後の抱負

ジェネリック医薬品の開発をプロジェクトマネージャーとして推進!

ジェネリック医薬品(先発医薬品(新薬)の有効性や安全性等の確認期間と特許期間が過ぎたあと、同じ成分で製造・販売できる後発医薬品)の開発・製造・販売を行う当社での私の業務は、開発品目の選定や初期評価および進捗管理を担当しています。
開発候補となる医薬品の製造・販売できる年度の調査や先発医薬品にはなかった剤形や規格の企画提案、開発品の適切なリスク評価と開発スケジュール案の設定に携わっています。
開発が決まると、プロジェクトマネージャーとしてチームを編成します。市場競争がますます激化していくなか、チームが一丸となって目標とする品質を満たす医薬品を開発できるようにプロジェクトを導く運営手法について日々考えています。

大阪工業大学応用化学科および出身研究室を選択した動機

新しいものを創りたい!将来の選択肢の幅が広い応用化学科へ

高校時代から化学や実験好きの理系寄りでしたが、当時からやりたいことや就きたい職業が明確に決まっていたわけではありませんでした。
大阪工業大学は1年次から毎学期実験を行うことに加えて、就職率の高さや公募推薦があること、自宅から通学できる立地条件の良さも魅力でした。
入学後「新しいものを創り出したい」という気持ちが強くなり、応用化学科に進めば化粧品や食品、自動車、電機など将来への選択肢が幅広いと感じて選択しました。
そのなかでも有機機能化学研究室を選択した理由は、有機化合物を用いた合成がしたかったのと1年次の担任教員の勧めもあったから。指導教員である村岡雅弘先生のお人柄に惹かれたことも重要な決め手のひとつです。村岡先生は一人一人のペースや価値観を意識して接してくださるので、気兼ねなくいろいろな相談をすることができました。研究室の活動を通して、自律的に行動する力が身に付いたと思います。初の国際学会であり海外に行くのも初めてでありながら、国際学会への参加意欲が掻き立てられたのも、先生の熱心なご指導と研究室の先輩・後輩に影響を受けたからだと思います。

思い出に残っている授業・先生

応用化学実験で鍛えられた研究姿勢の基本は「自分の頭で考える」

この質問で真っ先に思い出したのは、1年次からの必修科目である応用化学実験です。最初の実験からうまくいかず挫折を経験しましたが、自分が成長するための大事な過程だったと思います。
とにかく何もかもが初めてで、分からないことばかり。他の生徒がすることをマネするのに必死で、よく先生に怒られていました。
今思えば、怒られても当然です。当時の私はただ表面上をマネるばかりで、「自分の頭で考える」という一番基本となる研究姿勢を置き去りにしていたからです。
その後、実験に対する取り組み方や一連の手順も徐々に身につき、「目標をクリアするにはどうしたら?」と自分で考える癖もついたと思います。
大学で教わった実験レポートの書き方も、就職してから会社で報告書や資料を作成するときに大いに役立っています。

工学部の中でも応用化学科でよかったこと

多彩な化学分野に触れながら絞り込んでいく「わたし」の将来像

応用化学科は幅広い化学分野の学びが用意されています。講義や実験を通して化学の基礎から専門知識まで、さまざまな深さで学ぶことができるので、学びながら将来どんなことをやりたいか、じっくりと考える機会を持つことができました。
また、女子学生は男子学生に比べてかなり人数が少ないので、すぐに先生に覚えてもらえるし、色々と気にかけてもらえるところは良かったです。
仕事は、研究・分析業務が一切なく主にデスクワークですが、試験データを目にすることがたまにあります。授業もしくは研究活動の中で学んだり使ったりした機械・装置であれば、データの見方や基礎知識が入っているので、そういったときに応用化学科出身でよかったと感じます。

卒業論文のテーマおよび実験・執筆で苦労したこと

繊細なNMR滴定にひと苦労、試行錯誤の分だけ上達を実感!

大学院に進んだ私の修士論文テーマは「水素結合を駆動力に利用した擬ロタキサンの物性および構造評価」です。超分子構造体の一つであるロタキサンとは、大環状構造の輪分子に軸状の分子を貫通させ(擬ロタキサンといいます)、輪分子が抜けないように軸分子の両末端に大きなストッパーの役割となる分子をつけた分子集合体の総称です。
私の修論研究では、新たに複数の輪分子の合成を行いました。合成した化合物を証明するための分析データを得られるのにかなりの手間と時間を要しましたが、期待した結果を得たときの喜びは研究室のメンバーとも分かち合いました。
これらの化合物を利用して形成された擬ロタキサンの安定度(相互作用)を求めるために核磁気共鳴(NMR)装置を用いた滴定には、非常に苦労しました。時間をかけすぎると調製した溶液濃度が変わってしまうなど非常に繊細な作業ですが、失敗は絶対に許されません。
心が折れそうになるときもありましたが、好ましい結果を得たときの喜びを思い出しながら試行錯誤を重ね、徐々に自分でも分析手技が上達したと実感できるくらいになりました。

後輩たちに伝えたい就職活動エピソード

就職課が提供する充実の就職サポートを活用して短期決戦に成功!

大阪工業大学の就職サポートは非常に充実しており、1年次から説明会や企業・業界研究などさまざまなイベントが用意されていますので、皆さんには大いに活用してもらいたいと思います。
と言いながら私の場合、「4年間連続的に就職活動に取り組むと、本番前に息切れしてしまいそう」と感じたため、大学院2年生の秋から始める短期集中型を選択。その限られた期間内で「必ず内定を得る!」と自分に発破をかけて、就職課が用意してくださった模擬面接や、志望動機の書き方やコミュニケーション力を磨くためのセミナーに参加、SPI対策を行いました。
就職活動は周りに流されることなく、自分と対話してほしいです。自己分析というと難しく聞こえますが、何が好きでどんなことに興味や関心があるか、簡単なことから振り返ってみると良いと思います。

 

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