天然物化学研究室 (物質生命化学領域)
教員
小林 正治 准教授 (KOBAYASHI, Shoji, Associate Professor)
教員紹介ページ:
https://www.chem.oit.ac.jp/cherry/2_lab/member/kobayashi.php
E-mail: shoji.kobayashi@oit.ac.jp(@を半角に書き直して下さい)
場所: 10号館11F北
わたしの研究内容
- 自然界の生物(植物、菌類、藻類など)が作り出す生物活性分子(天然物)の人工合成および構造や活性の解明
- 天然食品の機能の科学的裏付け
- 天然物資源を原料とする医薬リード化合物の合成
- 環境負荷の少ない有機化学反応や製造法の開発
天然物化学研究室では、自然界に微量に存在する生物活性分子(天然物)を標的として、合成法の開発や構造解明に取り組んでいます。希少な天然物を人工的に供給するとともに、キノコや海藻などの天然食品の生理機能を成分化学的に解き明かすことを目指しています。
また、構造的に複雑な天然物を合成化学的手法で別の骨格分子に作り変え、医薬の種として活用できる新しい分子(医薬リード化合物)を開発することを目指しています。
合成の方法にもこだわっており、世界的に使われている乳癌の治療薬や慢性疼痛治療薬を、より環境に適した溶媒を使って合成し、この成果はAsian Journal of Organic Chemistry誌において2016年の最多アクセス論文として注目されました。
先輩たちの卒業論文例
- ヤマブシタケ子実体に含まれる生体機能調節成分の全合成研究
- 紅藻から単離されたローレネニン類の全合成と構造決定に関する研究
- ステビオールを原料とするトリプテリフォルディンの短段階合成
わたしが今の研究分野に進んだきっかけ・目標
理論よりも実験勝負。誰もなしえなかった天然物の合成を!
様々な化学分野の中で、有機化学は私にとって最も理解しやすいものでした。頭であれこれ考えるより、実際に実験してみることで様々な結果が得られるのは楽しいもの。
自然界の生物が産生する見たこともない複雑な構造の分子を、自分の手で化学合成できることに魅力を感じ、実際に合成できたときは身体が震えるほどの達成感がありました。
私は一度民間企業に勤めてから再度博士課程に編入学しましたが、その理由の一つに、修士課程時代に達成できなかった天然物の合成を、どうしても自分の手で完成させたいという強い思いがありました。
今後の目標は、未だ誰も合成したことのない天然物の合成を世界に先駆けて成し遂げることと、研究を通じて学生の無限の才能を引き出し、生きていく道筋を築いてあげることです。
学生指導エピソード
細かい指導が社会の中で活きてくる、歓迎される卒業生たち
やはりなんと言っても学生と2人3脚で目的の分子を合成できたときが一番うれしい瞬間です。研究にはいくつもの難関が待ち受けていますが、その難関を突破した時の学生の喜びは、私の活力源にもなっています。
“やらされ感満載”だった学生も一つの成功体験によって自信が芽生え、一気に自主性が開花することがあります。はじめは私がアイデアを出しますが、実験の細かいところは学生の詳細な観察が頼りです。学生の発見・考察から新しいアイデアが生まれ、それが功を奏したときは学生と一緒に喜びを分かち合います。学生の成長も肌で感じられ、教育者として最高の瞬間です。
また、付加的になるかもしれませんが、卒業生たちが社会的に高評価を受けていることはとても励みになります。企業、大学、国立研究開発法人などで研究者として活躍している卒業生から「勤務先で自分の実験ノートが周囲のお手本になっている」という話を聞いたときは、研究室での細かな指導が間違っていなかったと再認識できました。
学歴・職歴
1973年生まれ | |
1992年3月 | 東京都立八王子東高等学校 卒業 |
1996年3月 | 東北大学理学部化学科 卒業 |
1998年3月 | 東北大学大学院理学研究科化学専攻 博士課程前期課程 修了 |
1998年4月 | (株)東レ 医薬研究所勤務(~2000年3月) |
2002年4月 | 日本学術振興会 特別研究員(~2004年3月) |
2003年3月 | 東北大学大学院理学研究科化学専攻 博士課程後期課程 修了,博士(理学) |
2004年4月 | 東北大学大学院理学研究科化学専攻 助手 |
2005年4月 | 大阪府立大学大学院理学系研究科分子科学専攻 助手 |
2007年4月 | 大阪府立大学大学院理学系研究科分子科学専攻 助教 |
2010年4月 | 大阪工業大学工学部応用化学科 講師 |
2014年4月 | 大阪工業大学工学部応用化学科 准教授 |
2018年4月 | Research Fellow at University of Lincoln(イギリス)(~2018年8月) |
所属学会
日本化学会、有機合成化学協会、日本農芸化学会、近畿化学協会、日本プロセス化学会
担当授業科目
- 有機合成化学特論(大学院)
- 化学安全衛生管理(4年生)
- 国際研究セミナー(4年生)
- 生活化学(4年生)
- 生命有機化学(3年生)
- 応用化学実験 C(3年生)
- 有機化学IV(3年生)
- 応用化学実験 B(2年生)
- 応用化学演習 c(2年生)
- 基礎化学演習 c(2年生)
- 有機化学III(2年生)
- 有機化学I(1年生)