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高分子化学

macromolecular chemistry

はじめに

近年,薬剤開発段階におけるスクリーニング技術が進歩し,高速化が進んでいる.
スクリーニングの高速化に伴い候補となる薬剤の効率的な合成手法の確立が必要となっている.
その極めて有効な手法がコンビナトリアルケミストリー(コンビケム)であり,コンビナトリアルケミストリー(combinatorial chemistry)とは,組合せを利用して効率的に多数の化合物群(ライブラリー)を合成する技術である.
今日,この技術は医薬品開発のみならず,有機機能材料や触媒探索など多くの分野で用いられるようになってきている.

コンビナトリアルケミストリーでは主に固相合成が用いられる.

固相合成法は,一般的に固相(高分子)担体上で有機化合物を合成するので,過剰に用いた試薬などは溶媒洗浄といった簡単な操作によって取り除く事ができる.
すなわち,従来の有機合成反応で行われる合成中間体のカラム精製の労力軽減が可能となった.
また,固相合成法の簡便な操作の繰り返し段階は合成の自動化に適しており,この点においても作業者の負担軽減に貢献できる.

このように,コンビナトリアルケミストリーで用いられる固相合成は多くの利点を有する.
しかし実験書や論文等で多くのデータ蓄積がある溶液系反応条件をそのまま用いることができない場合もあり,工夫や改善も必要である.
そこで,合成化学研究室ではコンビナトリアル合成に用いられる高分子担体の新規開発と,その応用について検討している.

最近の主な研究テーマ:
コンビナトリアル合成に用いる高分子担体の合成とその応用

薬剤開発を中心として発展してきたコンビナトリアルケミストリーは,今日,無機材料や新素材の研究など多方面で利用されるようになってきている.
コンビケムの手法を用いて有機合成を行う際には,通常ポリスチレン樹脂などの固相担体が利用されている.
我々は,特に広い極性溶媒に対応できる高分子担体や担体と目的化合物とを連結するリンカーの開発に取り組んでいる.
また,合成用担体としての無機化合物の利用も検討してる.

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